sugar voice


「…大丈夫なのか?」

チラッと後ろからついて来る私を見てぶっきらぼうに言う


「…え?何がですか?」

いきなり大丈夫か…と言われても意味が分かる筈もなく

キョトン顔で笹倉さんを見つめ返した


「は!?…チッ」

笹倉さんは低く唸ると立ち止まって


「熱があるんだろ!?まともに歩けるのかと聞いているんだ!!」

「えっ?はい…少し寝たんで大丈夫です」


怒鳴るように問い掛けられて一瞬怯んだが、様子を窺うように返答した

「…ならいい」

私の言葉に満足したのか笹倉さんは再びスタスタと歩き始めた


「……え?」

もしかして
もしかしなくても


心配してくれた?


意外な人からの些細な気遣いにしばらく呆気にとられていたが


「あ、待って!!」


また置いて行かれてしまいそうだったので慌てて追い掛けた




笹倉さんの歩くスピードがほんの少し遅くなっているように感じたのは

多分気のせいなんかじゃないと思う


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