sugar voice
でも、デビュー直前にいなくなるなんて…
いくら引っ越すからといってもマネージャーさんに普通は連絡するし
なにより喜しくて姿を消すなんて考える筈ないよね?
そんな疑問が頭をよぎったが
「着いたぞ」
笹倉さんの声で強制的に現実に思考を戻され
私は徐に顔を上げた
たどり着いたのは楽屋のようで
ドアの前で立ち止まると、私に中へ入るよう促した
ガチャッ
扉を開けると、
椅子に座って深刻そうに頭を抱えている女性がいた
「誰……菜月!?」
ドアの音に気付いた女性は徐に顔を上げると、私を見るなり勢いよく抱きつく
「大丈夫!?どこも怪我してない!?」
「…お母さん?」
その女性がお母さんだと気付くのに少し時間がかかった