sugar voice
「…飴?」
包みを開けばビー玉のように透き通った飴玉が二つ
「そ。疲れたときには糖分でしょ?」
「…ありがと」
翠の気遣いが嬉しくて思わず顔が綻ぶ
「いえいえ。じゃあ部活あるからもう行くね。秋華と真澄には私から言っておくから」
そう言うと翠はバイバイって手を振って足早に出て行った
翠が出て行った後、包み紙の上にちょこんとのっている飴玉を徐に手に取り、口に放り込む
「…甘っ」
口いっぱいに砂糖と果実の甘味が広がって
なんだかホッとした
「…さて」
頬をパンッと叩いて気合いを入れると
ほんの少しの期待と
溢れんばかりの不安を持って
急いで部室へ向かった