sugar voice
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ガチャッ
「あ、菜月お帰り~。もうすぐご飯出来るから着替えてきなさいね」
「……」
「菜月?」
何も知らないお母さん
当たり前なんだけど
明るい笑顔が今は辛かった
「…ごめん。今日ご飯いらない」
お母さんの顔を見ずに淡々と言葉を並べると
「え…?ちょっと待ちな…」
お母さんの咎めるような声を振り切って二階へ駆け上がった
ガチャッ
バタンッ
「………」
扉の閉まる音が耳の奥を震わせる
私はベッドに雪崩れ込むように倒れた
あー…なにやってるんだろ
バサッ
「……あ」
ゴロンと体勢を変えた弾みにベッドの上にお母さんがそんな折り畳んであった服が重力に従って落ちる
わざわざ起きあがるのも億劫で、寝たまま服を拾い上げていく
何枚か拾っていくうちに、ふと手が止まった
「これ…」