sugar voice
 


「何を…って」


柳井の事なんて…何にも知らない

sugar nightが好き

楽器のベースが好き

カメラが好き

あとは…


「sugar nightのボーカルだった…キラさんが凄く大事な人だ…って」

"キラ"という単語が出た途端、シンは大きく目を見開いた

「…それは、本人に直接聞いたのか?」

「名前は笹倉さんに。聞いたというか…昔話をしてくれたんです」

そう

なんでもない昔話を

「昔話ねぇ…」

笹倉さんに続きを促され私は大まかに内容を話すと、二人は驚いたような表情を浮かべた

「まさかアイツがそこまで話してるとはな…」

「ああ…全く…カズの考えていることが分かんねぇ…」

「じゃあやっぱり…」

二人の反応からして、あの昔話の主人公は柳井とキラさんだったんだと確信した


「あの…二人はキラさんと柳井の関係を…前から知ってたんですか?」

こんなこと…部外者の私が聞くのはいけないのかもしれないけど

こんな機会は二度と来ないかもしれないと思ったら聞かずにはいられなかった


笹倉さんは「人の色恋沙汰には興味がない」と煙草に火をつけながら淡々と言ったのに対して、シンさんは軽く頷いた



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