sugar voice


「……さて、と」

数秒程の沈黙の後、笹倉さんは吸っていた煙草を灰皿で潰しながら小さく息をつく

「事情は分かった。で、本題はこれからだ」

本題…?
まだなにかあるのだろうか

笹倉さんの言葉に首を傾げる

「お前らに落ち度はない…と言ったら嘘になるが、少なくともやましい関係ではないんだな?」

「…はい。」

私は二人を見据えて大きく頷いた

少なくとも柳井は私に対して特別な感情を抱いてない

あったのは…私の一方通行な邪の想いだけ

「だが、世間の風は厳しい。雑誌はあることないこと書いてsugar nightの人気は少しずつではあるが下降の一途を辿っている。

そこでだ」


ニヤリと悪巧みを考えたような笑みを浮かべる笹倉さんに嫌な汗が流れる

やっぱり私は拷問にかけられるのだろうか…

ひきつる表情に更に追い討ちをかけるかのように言葉を紡ぐ

「お前らのやったことは決して子供の悪ふざけで済むような軽い問題じゃない事くらいは分かってるよな?」

…分かってる

たった一度の過ちが、テレビや雑誌で尾びれが付いて大きく取り上げられ、それが本人のありのままの姿だと認識されることがある

それが莫大な損害を生むことも

唇を噛み締め下を俯く私に笹倉さんは声を出さずに笑う





「責任を取れ、架山菜月。」


お前の身体でな




付け足すように言い下された言葉は私を嘲笑うかのように流れ


まるで…死刑を宣告されたようだった


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