sugar voice


ずしりと感じるナツの重み


「……重い。退け」

本当はあまり重くないが…まだ苛々がおさまっていなくて、淡々と言いながら、無理矢理ナツを引き剥がす

「ちょっと~もぅッ!!」

納得いかないのかナツはブスッと膨れっ面のまま渋々離れた

それからナツは俺を覗き込むように見ながら

「ご機嫌斜めなのはカズの勝手だけど…みんな心配してるよ?」

多分こっぴどく怒られるだろうねって嬉しそうにニッコリ笑った

「…分かってるって。もう行くから」

ナツの軽い挑発にはのらず、サラッと受け流すと、近くにあった鞄を拾ってゆっくり歩き出す

「待ってよー!!」

俺が急に歩き出したものだからナツは慌てて後ろからついてくる



公園を出て俺達はみんなの待つライブをした場所へ向かう


綺麗な街灯が沢山並んである道を2人で歩いている途中にナツが

「ねぇ…カズ?」

「……」

「ねぇ…」

「……」

「カズってば!!」

「…なんだよ」

返事をするのが面倒臭くて、三度目でようやく俺は返事をした


「なんで公園なんかにいたの?」

ナツのもっともな質問に俺はまた架山の顔が浮かんできて

「別になんでもいいだろ」

吐き捨てるようにして言ったらナツは可愛らしい顔を崩してニヤリと笑うと

「ふーん…じゃあそのほっぺの赤みはなに?」


手痕がくっきりついてるよって声をあげて笑った
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