sugar voice


「…もういい。それよりカズ、そのくっきりと残っている手痕は何だ?」

俺の頬を指差すなりクスッと自嘲気味に笑うシンにナツが言葉を挟む

「架山っていう子にビンタされたんだって~♪」

そう言うとナツは素早くシンの後ろに隠れた

「…ちっ」

俺は小さく舌打ちをした

後で覚えとけよ

「架山って…お前がチケット渡したっていう4人の中の子か?」

「…ああそうだけど」

ヒロの問いかけに仕方なく答える



なんで俺が4枚もチケット持ってたかというと

実は架山に渡したのはチケットによく似た

ただの紙切れ


俺がちょこぉーっとサインを書いたら初めて効力があるもので…

そこにいた子たちは別の場所に移動してもらった

勿論3人には内緒でね

3人には友達の為にチケット買ったって言っておいた

本当はやっちゃいけないことなんだけど

架山が俺達のファンになってくれたらそれで良いと思った

それに

'和也ぁ…?'

どことなく煌(キラ)に似ているような気がした


「ヤバい!!」

突然シンが大声をあげると、みんなが一斉にシンの方を向いた


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