sugar voice
-言えないキモチ-柳井side
結局俺は言いたい事が言えず複雑な気持ちでベランダに戻るともう女の子はいなくて
「お前…馬鹿だな」
ため息混じりにそう言って胡座をかいて座っていたのは俺の友達の颯斗(ハヤト)
幼稚園の頃からの幼なじみで、顔は良い方だと思う。スポーツも勉強も出来て何かと頼りになるやつだ
「うるせー」
颯斗の頭を思い切りバシッと叩いて横に座る
「ってぇな…俺は本当の事を言ったまでだ!!」
頭をさすりながら恨めしそうに俺を睨みつける
「お前…あの子の事好きだろ?」
ニヤリと笑って颯斗は架山を指差した
「はぁ!?」
いきなり何を言い出すのかと思えば…
「別に好きとかじゃない」
キッパリそう言ってやったら
「つまんねーの」
本当に面白くなさそうに呟いて鞄の中からプリッツを取り出してポリポリ頬張った
「だってさ…あの子煌にどことなく似てない?」
「それは…」
ズバッと言い当てられて思わず口をつぐむ
「…まぁ良いけど。それよりさ~…‥」
それ以上颯斗は何も聞かず、それから颯斗は煌に当たり障りのないくだらない話をし始めた
「………」
こういう所が颯斗の良いところだと思う
煌…
俺の大切だった人
特別だったひと
そんなのは昔の話
昔の…ね
徐に空を見上げるとうっすら虹がかかっていた