sugar voice
「なぁ~んだ。それなら早く言ってよ」
パッと急に掴んでいた肩を離したものだから少しよろめいた
真澄が聞いてなかっただけでしょうがι
私は軽く睨んだが全く気付かなかった
「兎に角、私はからかわれただけだから。もういいでしょ?」
これ以上聞かれたら面倒だし、何よりさっさと帰りたい
私は歩くスピードを速めた
「え~」
真澄も慌ててそれに追いつく
「い・い・よ・ね?」
「ゔ~ι」
まだ言いたい事がありそうな真澄なんて関係なしにピシャリと強制的にこの話題を終わらせた
「馬鹿菜月ー!!」
お決まりの罵声と共に
――――――…‥
しばらく真澄の機嫌をとろうとあれこれ努力したけど結局無理で
「じゃあねぇ」
「………ふん」
分かれ道で必死に手を振る秋華と、ふてくされてそっぽを向いたままの真澄と別れた
「明日になったら忘れてるでしょ」
翠が肩をすくめて笑った
「だと良いけどι」
ハハッと乾いた笑い声を漏らした
気がつけばだいぶ日が落ちて暗くなっていて
街頭が一つ二つつき始めていた
もうこんな時間…
時計を見ると8時を示していた
近所に翠の家があるから別に遅くても大丈夫なんだけどね
しばらく歩きながら翠と会話を楽しんでいたらいつの間にか家について
「じゃあね菜月」
「ばいばい」
ニッコリ笑って手を軽く振ると家の中へ入った