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「大貴ー!!!」

まりが俺の名前を呼びながら突進してきた。

「痛ぇ!」

大袈裟に顔をしかめると、

「大袈裟でしょ!ってかてかてかてか、志望校どこ?」

無駄に「てか」と連呼して、俺の手から進路希望調査書を奪った。

「ちょ、勝手に見んなって。」

「へー、N高かぁ。」

俺の言葉は聞いてないらしかった。

「やっぱサッカーするの?」

「当たり前だろ、俺からサッカー取ったら何が残るんだよ。」

「・・・バカ」

ムカつく言葉を吐いた後、俺の反撃は聞かずにまりは言った。

「じゃあまりもN高にしよっと。」

・・・はっ?!

まりがN高?無理無理無理・・・
まりの学力じゃ到底無理だろ。
中学3年間全部宿題は俺のを写したくせに、なにを生意気な・・・

俺がそう言おうとすると、慎吾が言う。

「マジで?!まりもNにする?おお、なかよしトリプルがみんな揃うじゃん!」

「うんうん、揃うね!」

まりは早速俺の進路希望調査書を写し始める。

いやいや待てよ・・・
まずなかよしトリプルって何だよ、初めて聞いたわ。

心の中で盛大に苦笑いする俺は言った。

「お前、N高の偏差値分かってんのか?」

「なんか高いらしいね~。」

「お前・・・」

呆れる俺を見て、慎吾は言った。

「いや、まりが同じ高校だったら大貴も嬉しいだろ?」

まぁ、中学3年間は慎吾と俺とまりでつるんできたわけだし、楽しくはあるだろうな。
でも高校ってそんな簡単に決めていいもんなのか?

俺の葛藤をよそに、慎吾とまりの話は進む。

「俺と大貴が教えてやるしな、ベンキョ。」

「マジで?!優しいなー、やっぱり慎吾は。」

「大貴もだって。」

「なんで俺がこいつに・・・」

「いいじゃんケチ!無駄に頭いんだからちょっとくらい分けなさいよ!」

分けなさいよ!って・・・
無理だって・・・
ああ、めんどくせぇ。

「はいはい。分かりましたよ。」

「やった!」

あからさまに喜ぶまりに

「ただし、俺はスパルタだかんな。」

と、釘をさしておいた。




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