不器用な指先
不器用でもまあまあオーケー
(一)
私には彼氏がいる。
イケメン彼氏。
見ているだけでキャーキャーとわめいて赤面必須な彼であり。
そばにいるだけで動悸が激しくなり、息が乱れて、しまいにはよだれが餌を前にした犬並みに出て来るような、そりゃあもうイケメン彼氏で。
「そこ違う。次間違えたら、ベランダから突き落とすぞ」
「……、サーセン」
スパルタ性格の男でもあった。
とりあえずは謝ってみたが、『次がない』と思わせるのは私の席が窓際にあったから。
誰もいない教室。夕暮れ間近で、校庭では青春走りをする野球(ヘルメット)少年。
大会近いから頑張ってんだなぁ、と感心していれば。
「なんだ、外を見て。ベランダから突き落とされたい願望でもあるのか」
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