不器用な指先


前向き姿勢で行こうにも、どうしても気にかかってしまう。


怖かった。
ただでさえ可愛くもない顔を、髪を伸ばして下ろして女の子らしくしようとしていた私のちょっとした抵抗が。


「あ、れ?椎野、西川コンビじゃん」


俯き加減だった頭をあげてしまい、後悔してしまった。


教室に入ってきた同級生三人。


もろに目線があった。そうして後悔の種というのが。


「うわ、西川。すっげえねー。か、み」


入学してから一度もあげなかった髪をあげた私を見られた後悔。


笑う同級生。
茶化したようにこちらを指差して。


「変な趣味してんなぁ、椎野は」


自分の姿を傷つけられた瞬間。


泣きそうになった。
他愛ない笑い話。あいつらにとってはそうかもしれないが、笑い話のネタとなる私には毒でしかない。


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