不器用な指先
また俯くしかない。
涙をこらえるのに、下を向くなんて間抜けだけど。
こんな可愛くない顔は見られたくなくて。
一番は私の彼氏(好きな相手)たる彼で――正直、彼に救ってほしかった気持ちもあった。
変な趣味――付き合う女がおかしいというあいつらに何かを言ってほしいと思い。
「別に、俺の趣味じゃない」
凍結した気分を味わった。
足のつま先から脳まで。今、なんて。なんて言って――
付き合う彼女に趣味じゃない、と。
「おい、西川……?」
掴まれた腕を振り払う。
立ち上がり、走った。
同級生三人をも押しのけて、走ってはいけないという先生の声も無視して突き進む。