不器用な指先
あるからこうしていられると、抱きしめられた。
泣いた。
悲しい涙じゃなく、温かい涙。
信じていたモノが信じていてくれていたこの嬉しさ。
感動感激という言葉ではまだまだ足りない嬉しさの中。
「――趣味じゃないって言ったの、に、ぃ」
疑問を出した私はフラグクラッシャーだった。
仕方がないと自分で自分を弁護する。
彼もさして怒ってないようで――呆れてはいるけど、私を離して頭を指差した。
「家までと言ったが許可しよう。触ってみろ」
なんかの許可がおりた。
束ねられたままの髪。恐る恐るといった感じで触る。
思った通りの一つ縛り。その縛っているものに触れたわけだが。
「あれ……」
異物、というか何というか、凸凹した感触が。
「新型の輪ゴムなんですか」
「黄色いワッカに何の性能を求めているんだ。いいから、とってみればいい」