不器用な指先
上から目線は相変わらずも、言われた通りにとってみた。
肩に髪が落ちる。
風でなびくのが自分でも分かる長い髪を束ねていたのは。
「蝶……」
蝶の飾りがついたゴムだった。
雑貨屋で売っているようなお洒落で高級そうな髪留め(ゴム)。
ワンポイントたる大きな銀蝶は華やかで綺麗だった。
「き、黄色いワッカが」
「化けてはないからな。すり替えておいた」
「手品……?」
「いくらなんでも常識はあるだろう。輪ゴム見せて、実際につけたのはそれという……まあ、自分でも下らないと自覚している、その、あれだ、演出というか、プレゼントというか……いいから、黙ってもらっとけ」