不器用な指先


こんな綺麗な髪飾りがあるならば、髪だってあげられそうだ。


不安がない今、“彼が愛してくれる顔”ならば自信が持てる。


「椎野さんって、結構かわいいことしますよね」



「言うな、バカ」



目は合わせずとも、髪を束ねてくれたあの指先が手ぐしをいれて頭を撫でてきた。


不器用な指先は彼なりの優しさを教えてくれる。



「帰り、送っていってやるから」


不器用な伝えかたなりにも愛がある。


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