不器用な指先
反論したいが、反論出来る頭も持っていないために小声で鬼畜と呟いておく。
「勉強なんて何でするんでしょうかねー」
「勉強すんの飽きた奴が出す情けない逃げゼリフを抜かすな。つべこべ言うようならば、消しゴムのカスを服の中に入れるぞ」
「へ、変態っ」
「ほら、次はこっちの問いだ」
え、スルーですか。と言うも勉強教えてる気満々の彼は、シャーペンを赤ペンに代えていた。
今現在、勉強しているのは学生の敵である数学。
公式やら何やらを教科書にちょこちょこ書き始めては、分かりやすい解説なども備える異人――いや、偉人。
顔いいくせに、頭がいいんだから。
「どこの漫画キャラですか、あなたは」
「何の話だ、何の」
ほらここ、と私に問題を解けという人に従う。