不器用な指先
あはははー、と自分の巧みな言葉がえに惚れ惚れとする。
まずい状況になった。
私の髪が売られちまう。危機的状況下に陥れば、人間は潜在的能力を解放出来るつうのに。
だー、ちくしょう。そもそも潜在的能力すらもない私は頭を悩ますだけだった。
「………。なあ」
「………」
「おい、聞いているか」
「ちょ、邪魔しないで下さいっ。今エジソン並みの閃きが光臨してこよーと、っっ!」
エジソンが飛び立った。驚きのせいで。
髪を掴まれた。
筋張った彼の手が、手ぐしでも入れるように髪に――
「ちょ、後五分っ。髪切らないで下さい!」
「なにを勘違いしている。髪、勉強すんのに邪魔だろう」