不器用な指先
勘違いさせたのはあなたの言葉(脅し)があったからでしょう、とは心だけのセリフだが。
邪魔と言えば、まあそうかもしれない。
腰まである後ろ髪等しく、サイドも同じぐらいある。
耳にかけりゃあいいだろ、と人は言うが。顔が少し大きいというコンプレックスを持つ私は、髪を束ねたりなどはしない。
「え、と。邪魔じゃないで、慣れっこで……。だから、このまんまで」
いい、と言う前に彼は席を立ち上がった。
背たかいなぁ、なんて夕日が照らす彼のかっこよさを見とれつつも。
「結べ。輪ゴムあるから」
手に持っていた黄色いワッカに硬直した。
え、ええぇ。なんてあからさまに破顔するも彼はやる気らしく私の後ろに回った。