不器用な指先


「まっ、え、ええ!輪ゴムで髪束ねるなんて、出来るわけ……なくもないかもしれませんが、乙女魂が激しく拒絶を」


「じっとしていろ」


言葉を超えた言霊が耳に入る。


後頭部に彼の声(息)があたり、体が固まった。


赤面する。

誰もいない教室。夕日がさす教室。彼氏彼女同士。

こんな甘いシチュエーションで――。




「動くなよ。結んでやるから」




なに、この森川さん(素敵)ボイスっっ!


甘い、甘すぎる鼻血ぶー的な甘い声。

例の銀髪様(ソルジャー)のような上から目線である言い方、しかしてCC時代(マニアックな例え)のように優しげで若い感じも残る悩殺ボイス。


耳が孕んでしまう最強魅惑的ボイスが私の耳から脳に入って。


「…………っ」


全身の体温を十度あげた。


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