わたしが本当に好きな人
わたしが本当に好きな人
プロローグ
対策はバッチリ。
模試の判定も良かった。
本番のときの体調は完璧。
手応えはあったし、見直しもした。
それでも、発表まで結果が分からないのが入試というもの。
そして今わたしは、その結果を知ろうとしている。
「えっと、75、75、ななじゅう……」
やった、あった!!
いくらそれまでのテストの点数が良かろうと、いくら周りから安全圏だと言われようとも、「合格」だと分かったときの喜びが格別だということは、味わった者にしか分からない。
さて、その結果を早速家族に知らせようと、わたしはケータイをポケットから取り出した。
「あれ?嘘……」
無情にもそのときのケータイは電池切れ。
わたしとしたことが、緊張しきってて確認し忘れてしまった。
ふと、途方にくれたわたしの前に差し出された、一つのケータイ。
「これ、よかったら使って」
見ると、そのケータイの持ち主は大人の男性。
高い身長の持ち主だけど、人を見下ろしている感じはしない。
穏やかな顔立ちで、眼鏡の奥の瞳も優しかった。
思えばこのときすでに、わたしはこの人に惹かれていたのかもしれない。
「あ、ありがとうございます」
とりあえずわたしはこの厚意を素直に受け入れることにした。
そのときは思いもしなかった、この出来事がわたしの高校生活にどれほど関わってくるのか。
模試の判定も良かった。
本番のときの体調は完璧。
手応えはあったし、見直しもした。
それでも、発表まで結果が分からないのが入試というもの。
そして今わたしは、その結果を知ろうとしている。
「えっと、75、75、ななじゅう……」
やった、あった!!
いくらそれまでのテストの点数が良かろうと、いくら周りから安全圏だと言われようとも、「合格」だと分かったときの喜びが格別だということは、味わった者にしか分からない。
さて、その結果を早速家族に知らせようと、わたしはケータイをポケットから取り出した。
「あれ?嘘……」
無情にもそのときのケータイは電池切れ。
わたしとしたことが、緊張しきってて確認し忘れてしまった。
ふと、途方にくれたわたしの前に差し出された、一つのケータイ。
「これ、よかったら使って」
見ると、そのケータイの持ち主は大人の男性。
高い身長の持ち主だけど、人を見下ろしている感じはしない。
穏やかな顔立ちで、眼鏡の奥の瞳も優しかった。
思えばこのときすでに、わたしはこの人に惹かれていたのかもしれない。
「あ、ありがとうございます」
とりあえずわたしはこの厚意を素直に受け入れることにした。
そのときは思いもしなかった、この出来事がわたしの高校生活にどれほど関わってくるのか。