わたしが本当に好きな人
「ちゃんと告白はしてよ」
仁美が真剣な目で言う。
「うん、分かってる」
振られると分かっていても、きっちりとケジメをつけるつもりだ。
そうしないと今まで相談に乗ってくれた仁美にも失礼だから……
「さてと、ちょっとそこで待っててね」
そう言って仁美は音楽室を出ていった。
音楽室にはわたし1人だけ……
とりあえず、ピアノ椅子に座ってみたが、弾く気など起きなかった。
「分かっていたんだ……」
こうなることなど。
先生を好きな人はたくさんいて、わたしはそのうちの一人に過ぎなくて……
先生には大切な人がいて……
先生は大人で、わたしは子供で……
先生は教師で、わたしは生徒で……
それでも好きになる気持ちは止まらなくて……
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