わたしが本当に好きな人
「それにしても今回の国語は惜しかったね」
「はい……」
赤くなった顔に気づかれないか、少しびくびくしながら答える。
「もう少しで満点だったのに」
「別に満点に拘っているわけじゃありませんが」
それでも取れる問題を落としたのは悔しい。
「ここ……」
えっ!?
先生の顔がわたしの顔に近づく。
息が頬にかかる。
赤い顔に気づかれてしまう!
それどころかますます顔が赤くなってしまう!
「こういう所は、こうするとミスしにくくなるよ」
わたしが読み間違えた部分を指しながら、先生は言う。
「それじゃあ、電気忘れずに消して、あまり遅くならないうちに帰るんだよ」
小さく手を振りながら、先生は教室を後にした。

先生……
どうして貴方はわたしを期待させることばかりするのですか……
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