虹のリズム
「はい、どうぞ。」
真夜中の訪問に笑顔で応えてくれる。
「ありがと。」
湯気が立ち昇る熱いコーヒー。
「あったかいの飲むと落ち着くよ。」
美羽はにっこり微笑みながらテーブルの角を挟んで座った。
「ねぇ、コーヒー飲んだら興奮しちゃわない?」
俺の言葉に答えを探す。
「えっと……水にする?」
本気で聞き返され、思わず吹き出してしまう。
「いやいや、興奮させてもらいますよ?」
うやうやしくカップに向かって頭を下げると、カップのすぐ近くまで顔を寄せてきた美羽が呟いた。
「お湯入れる?薄めようか?」
あくまでも本気の提案らしく、真剣に言う。
ついついいじめたくなる所以がここにあるのだとしみじみ思ってしまう。