蝶々
「ごめんね、ここの板書なんて書いてあるか分かる?」

前の席の“津手沼さん”が私に振り返って聞いてきた。

知らない子が話しかけてきて少しとまどいながら、


「んーっと多分2だと思うんだけど・・・」


自信なさげに私は答えた。


「やっぱりそうかな?先生字が汚いんだよね」

「そうそう、この前とか「人」が明らかに「ん」って書いてあったし」

「あーそれ困った!解読してる間に板書進むんだもん」


こんな会話をしていたら、先生がクラスで唯一しゃべっている私達をじろっと見た。


「誰が字汚いって?」


私達は顔を見合わせて笑ったっけ。
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