蝶々
ふと外を見ると都心のビル群の中を鳥が列を成して飛んでいくのが見えた。
冷えた手を温めるようにこすりあわせながら自分の席に着く。

そしていつも通り、鞄から鏡とポーチを出す。
通学で乱れた髪の毛を直し、朝やり忘れた身支度をするためだ。

鏡の中の私は、眠そうな二重まぶたのうつろな目で見返してくる。


「だめだめっ起きろっ」


一人武者震いをし、地毛だか少し茶色がかかったストレートロングの髪の毛を手ぐしですく。
冬でも欠かさない日焼け止めを鏡を見ながら塗る。

そして考える。



・・・もうすぐ来るかな。

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