【短編】my sweet angel
 それから、姫様はあの流れ者に手料理を作って差し上げたり。

 宮殿のことを、親切に教えてさしあげたりされました。

 
 流れ者はというと、命を救っていただいた姫様へのご恩も忘れ
、姫様が作った手料理も感謝もなさらず召し上がり。

 毎日、宮殿の中をブラブラ遊んで回られては、宮殿で働く女性達に
気安くお声をかけて回られていました。


 「姫様も、どういうおつもりなのでしょう?」

 「もうすぐ、1ヶ月経ってしまいますわ!
  まさか、あの流れ者を王として、お迎えになられる
  おつもりなのでしょうか?」

  
 「まさか!  もし、そんなことになったら私はもう
  この宮殿をでます。
  あんな、王の下ではとても働けません。」

 「そんな、姫様は素晴らしい方です。」


 「今まで、そう信じてお仕えしてまいりましたが、万が一あのような
  男を、王になさるのであれば、姫様もそれまでの方、だという事に
  なります。」



  「何を、噂話されとるのじゃ」


  「申し訳ございません。 雨守さま。」 
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