意地悪な上司
「さて行きますか」
「やっと1時ですね…」
「あっそんなに楽しみだった?」
また笑えない冗談……
「早く行くないと混みますよ」
まだ1時なのに食堂は席が埋ろうとしていた
「水野さん先に席取っておいて
頼んでくるから」
「分かりました」
席はいつもの席
端の方
端ならあまり人に会話が聞こえないから
お弁当を広げて待つ
こんなやり取りがもう入社してずっと
「お待たせ」
にっこり笑う
「はい君のはミルクティー
お金はいいからね君にあげたいから」
「………ありがとうございます」
温かいミルクティーを受けとる
またもらってしまう
「毎日毎日お弁当〜僕にも作ってよ」
「私のお弁当より定食の方が豪華ですよ」
「家庭の味が食べたいし君の手料理が食べたい」
…………
「あっ話変わりますけど藍頼<アイライ>先生が原稿まだ持ってくれないんですよ」
「本当に変わるね
藍頼先生は今切羽つまってるよ
『キュート』が大ヒットしたと思ったらそれ行こうヒット作に恵まれていないんだから」
「そうですね…」
「それより今日カツなんてどう?」
「残念ながら今日は先約なんで」
「確かに残念」