cieliste
その日は久しぶりに全く何も予定がない日で、私は家でゴロゴロしていた。

夕方頃、ケータイの電話が鳴った。

登録していない番号だったけど、このごろは、就職活動で企業などからよく電話が来るので、知らない番号でも非通知でも、必ず出ることにしていた。

まぁ、やっぱり知らない番号だから多少の警戒はしたんだけど。

「もしもし」

「………。あ…ルカさんですか?」

しばらく沈黙のあと、遠慮がちにかすれた声が聞こえた。

私は一瞬、誰かわからなかった。

「あの、マイです」

「あ、ああ。マイちゃん。どうしたの?」

バイトで一緒のマイちゃんだった。

しかし、彼女の声は彼女とわからないほどしわがれていた。
< 103 / 200 >

この作品をシェア

pagetop