cieliste
「あの、もうお客さん少なくなってきたし、ルカさんよかったらユウカさんのところに行ってください」

アイちゃんがおずおずとそう言い出した。

「いいんだよ、あんなヤツ放置で」

私が彼女を見ると、ユウカはうらめしそうな目つきで、しゃがんだまま私を上目遣いに見上げていた。

しかし、立ち上がったかと思うと、客席のひとつに座った。

「きつねうどん」

「って、食べるんかい!」

「たまご入れてください」

下手に店員な分、メニューにはない注文でもやってくれるものを知っている。

このお店は、結構融通が利くので、慣れた人は『ねぎ抜き』とか『たまご硬め』とか、遠慮なく注文をする。

さらに常連になると、何も言わなくてもねぎ抜きのお客さんにはねぎ抜きで出てくる。
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