cieliste
森田君が、雅之、という名前だということを知ったのはそのときだった。

同じバイトではあるが、男子は調理、要するに皿洗いなので、私はあまり話したこともなかった。

背の高い、真面目そうな子で、このお店の常連客の紹介でここに来た、という話だ。

ここから少し離れたところにすんでいるらしいけど、私にはそれくらいの情報しかない。

いったいいつの間に、ユウカは森田くんと仲良くなったんだろう。

いったいいつの間に、部屋にまで遊びにいけるような仲になったんだろう。

いったいいつの間に、森田君のことを好きになっていたんだろう。

私は一言だけ返信をした。

『そう、よかったね。

アホはどうするの?』

一言だけ、返信が来た。

『わかんない、たぶんそのうち別れる』
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