cieliste
「ルカちゃんおっぱい大きくていいなー。ウチ全然ないんですよー」

隣同士、髪を洗っていたらユウカが言った。

「しかも、左右大きさが違うの」

私はシャンプーの泡が目に入ってそれどころではなかったが、まぁ、確かに彼女の胸の大きさは私よりかなり小さめだった。私がそれほど大きいわけでもないのだが。

その銭湯の中にはサウナもあって、私はサウナに入りなれていなかったので、我慢できずにすぐに出てしまったのだが、ユウカは中に設置されているテレビを見ながら平気な顔をしている。

私は隣の露天風呂に入り、ぼんやりと上に浮かんでいる月を見ていた。

ここはいまどき珍しい昭和の香りのただよう、まるでこち亀に出てきそうな銭湯で、こんな都会に、都会だからこそ、落ち着く場所だった。

といっても、一回390円の入湯料は、私のような貧乏学生にとっては贅沢の部類に入ることなので、私はここには、こうやって友達や親がとまりに来たときくらいしか、来ない。
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