不可解な恋愛 【完】



『…神崎さん、』


「…ごめん、今の忘れて」


『でも、』


「仕事行け。続きは今度、ね」






感情を抑えられなかった自分が恥ずかしくて、性急に腕を離す。

杏奈は戸惑った様子で、俺を見つめていた。

そんな彼女の髪にひとつキスをして、頭を撫でる。






「また来るね。仕事頑張れよ」






これ以上一緒に居ると、本当に彼女を自分に拘束してしまいそうで

戸惑う彼女を残したまま部屋を出た。



ずっと一緒に、なんてセンチメンタルになっていたけれど本当は

指輪、という形で彼女に自分の印を付けられたことに俺は、とても満足していたのだった。
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