不可解な恋愛 【完】
「逃げちゃだめだよ、金森さん」
「…許してください、」
「許すもなにも、捕まえちゃったし、ねぇ?借金の返済義務はお前に移るんだよ」
「でも、」
「お前が踏み倒そうとした借金の遅延損害金を、保証人の飛鳥が支払った。お前が逃げなければ発生しなかったはずの金だ」
「……、」
「300万円。まずそっちの責任とれよ」
ぶるぶると、最初に会ったとき以上に震えている金森。
ざまをみろ。
「それと元金の5000万。利子年間10億円。払える?」
「…無理に決まってる、」
「だねー。じゃあ利子が膨らむ前に、元金なんとかしようか、金森さん」
「俺には…300万だって、払えない、」
「払えない、じゃねぇよ。自分の貯金崩して何の関係もない300万円払った飛鳥の気持ちになってみろ、」
「…それは、すまないと思ってます、」
「思うだけじゃダメなんだよねー。ちゃんとカタチにして返してもらわないと」
玄関にへたりこんで俯く金森の髪の毛を掴んで、顔を上げさせた。
どこから見ていたのか知らないが、部屋の奥から小さく悲鳴が聞こえた。