不可解な恋愛 【完】
「杏奈、何考えてんの」
『えー?別に、』
「料理冷めるぞ」
『うん。…神崎さんは何か考えてた?』
「…もし杏奈と結婚したら、どーなんのかなって思ってた」
『……、』
「迷惑?」
『んーん。そんなことないよ、』
正直、杏奈の反応は意外なものだった。
俺があんなセリフを吐けば、もっと飛び上がって喜ぶと思っていたから。
杏奈は若干戸惑ったように笑って、目線を夜景から料理に移した。
そんな彼女に、言葉を続けることが出来なくて俺も料理に再び手を伸ばす。
『神崎さん、』
「なんだよ」
『あー…やっぱりなんでもない!』
「はぁ?」
『いや、どこの観覧車に乗りに行こうかなぁと思って、』
「どこでもいい。俺そういうの知らねぇからお前が決めろよ」
『ずっとそれ考えててさぁ、困ってた』
「くっだらねぇ」
真剣に自分の将来を考えていた俺はいったい何なんだ、とか思いつつ苦笑する。
杏奈はワインを飲みながら首をかしげて、真剣に観覧車の場所を考えているようだ。