不可解な恋愛 【完】




「杏奈、何考えてんの」


『えー?別に、』


「料理冷めるぞ」


『うん。…神崎さんは何か考えてた?』


「…もし杏奈と結婚したら、どーなんのかなって思ってた」


『……、』


「迷惑?」


『んーん。そんなことないよ、』






正直、杏奈の反応は意外なものだった。

俺があんなセリフを吐けば、もっと飛び上がって喜ぶと思っていたから。

杏奈は若干戸惑ったように笑って、目線を夜景から料理に移した。

そんな彼女に、言葉を続けることが出来なくて俺も料理に再び手を伸ばす。






『神崎さん、』


「なんだよ」


『あー…やっぱりなんでもない!』


「はぁ?」


『いや、どこの観覧車に乗りに行こうかなぁと思って、』


「どこでもいい。俺そういうの知らねぇからお前が決めろよ」


『ずっとそれ考えててさぁ、困ってた』


「くっだらねぇ」






真剣に自分の将来を考えていた俺はいったい何なんだ、とか思いつつ苦笑する。

杏奈はワインを飲みながら首をかしげて、真剣に観覧車の場所を考えているようだ。
< 122 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop