不可解な恋愛 【完】
『やっぱりお台場?』
「どこでもいいよ」
『地味に葛西?それか横浜まで行く?』
「杏奈が好きなとこにしろって」
『じゃあ、デートスポット、お台場に決定』
「はいはい」
先程見せた、儚げな表情はなんだったんだろうか。
打って変わって杏奈は、とても幸せそうに微笑んでいた。
やっぱりこいつのマイペースさにはついて行けない時がある。
だけど、彼女のそんな部分さえ愛しく思う。
観覧車?お台場?もうなんでもかかってこい。
そんな風に思いながら、最後に運ばれてきたデザートに目をやると、デザートはクレームブリュレだった。
ああ、懐かしい、なんて思いながら。
『儚いね、』
「また言ってる」
『人も、ものも、なんでも、壊れるときはきっとこんな風に儚いものなのよ』
「よくわかんねぇな」
『あー、観覧車楽しみ』
甘ったるいのは嫌いだけれど、今なら食べられる気がして
彼女に続いて俺も、その表面をスプーンで割った。