不可解な恋愛 【完】
『神崎さん、』
「んー…?」
『…やっぱり、好き、』
「やっぱり、ってなに」
『ずっと、一緒にいたいよぉ…』
「…っ、なんで泣くんだよ、」
飛びつくように、俺に抱きついてきた杏奈。
またゴンドラがぐらりと揺れる。
やっぱりずっと、辛い思いをさせていたんだと思う。
本当に申し訳ない気持ちと、ずっと我慢していた杏奈のいじらしさに、いろんな感情がこみ上げて心臓を圧迫した。
杏奈をしっかりと抱き締める。
俺のこの先の人生は、彼女以外とは、もう考えられないかもしれない。
誰かを選んでも、ひとりを選んでも、結局誰かが傷つくのだ。
もう、仕方がない。後戻りできないことはわかっていただろう。
この不可解な恋愛を始めたときから、罪を作ることは約束されていたのだから。
もう一度、杏奈にキスをした。
薄く目を開くと、そこはちょうどてっぺんだった。