不可解な恋愛 【完】
Episode 14



あの夜以来、杏奈とは会うことも連絡をとることもなかった。

俺の仕事が忙しかったのもそうだが、頻繁に会えないのも連絡を取らないのもいつものことだった。

その後、金森のところへ2度目の徴収に行った。

返済された金はたった10万。だけどこの前の3万からの成長が見られたからよしとしよう。

さすがに逃げる金がもうないのか、奴の家族は大分のあのマンションに留まったまま、大人しく俺の言うことを聞いた。






「お前さー、他に女がいるってホント?」


「水島…また来てんのかよ」


「奏音に聞いたよ。お前指輪その女にやったんだ?」


「ほっとけ」


「いいなあ。俺も彼女ほしいー」


「んなこと言いながらお前結構モテるだろ」


「まあねー。ひとりの女に留まるのがめんどいだけ」


「犯罪者で女にだらしない…お前確実に地獄に落ちるな」


「龍もね」






大分から帰ったら、事務所に水島が居た。

俺が部屋に入るなり、質問を浴びせかけた水島。相変わらず小動物のようだ。

すごく優しい顔で笑うあたりがきっと女心をくすぐるのではないかと俺は踏んでいる。
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