不可解な恋愛 【完】
革のシートに深く身を埋めた水島は、煙草をゆっくり銜えてゆっくり火を点けた。
大事そうに持っているノートパソコンとアタッシュケース。
こいつは一生、この仕事を続ける気なのだろうか。
「お前、いつまでこの仕事やるの」
「んー…逮捕されるまでかなぁ」
「は、捕まったら全部終わりじゃねーかよ」
「まぁな。でも犯罪も半分趣味みたいなもんだから、これがダメになればまた別の趣味探せばいっかーぐらいの」
「お前本当もったいねぇな、頭いいのに」
「頭は良くても性格も生い立ちも悪かったからねぇ。こんなことになっちゃいましたよ」
「お前の過去になにがあったんだよ、」
「ふふ。内緒ー」
水島は愉快そうに笑うと、まだ長かった煙草を窓の外に投げ捨てた。