不可解な恋愛 【完】
しかし無常にも、時間は過ぎる。
杏奈が居なくなって、もうだいぶ時が経った。
金森は、少ない金額だが毎月きちんと借金を返済している。
杏奈の家の中のものは、本当に全部金に換えた。だってこれが俺の仕事だ。
結構な金額になった家具たちだったが、それを組織に返済するのはやめておいた。
もう杏奈に返済義務はないのだから。居なくなる前に伝えておけばよかった。
この金はいつか彼女に会った時に渡そうと思った。金森の返済すべき300万と一緒に。
日々、後悔ばかりが俺の心臓を潰している。
もっと優しくしてやればよかった、もっといろんな場所に連れていけばよかった、もっと、もっと。
もうあの日々だって、杏奈だって、戻っては来ないのに。
――・・・だけど杏奈が居なくなってから、半年が過ぎたころ
突然俺の携帯が、杏奈からの電話を受け取った。