不可解な恋愛 【完】
杏奈が死んで、1ヵ月。
未だに何も断ち切れていない俺。
易々と奏音に戻るなんてできるはずがなくて、俺は家を引き払って引っ越しをした。
杏奈の金で墓を作って、そこに、彼女を納めた。
いずれ自分が死んだとき、もし運よく火葬してもらえたとしたら、俺も同じ墓に入ろうと思う。
海なんかに沈んじゃったら、おしまいだけどね。
東京湾を望む埠頭で、仕事をさぼって煙草を燻らせていた。
綺麗だとは言い難い海。俺の嫌いな海。
だけど嫌なことがあったとき、ここに来たくなるのは何故だろうか。
全てを飲み込んでくれそうな気がするから、かもしれない。