不可解な恋愛 【完】
「別れよっか、龍」
「……」
「龍には私が居ないとダメだと思ってたけど、私が居ても、きっとダメね」
「……」
「でも龍が寂しくて死にそうになったときは、いつでも傍にいてあげるから、連絡してきてね」
「……」
「ばいばい」
海に煙草を投げ捨てて、奏音は立ち去った。
きっと、泣いているんだろう。あいつが俺のことをどれだけ愛してくれていたか、俺だってわかっていたのに。
結局、何ひとつ手の中に残らないまま、ひとりぼっちになってしまった自分。
それなのに、何に対しても、さよならが言えない自分。
切なさが、海に落ちて、波紋を広げた。