不可解な恋愛 【完】
『神崎さん!』
刹那、杏奈の声が聞こえた気がして、後ろを振り返る。
停めてある愛車のそばには、もちろん人影すら、ない。
いつまでも幻想を見ていてはだめだ。
前に、進まなければ。
『大好きだよ、神崎さん』
全て手放して、今日からまた、新しい俺を始めるんだ。
また聞こえた気がした声に、はいはい知ってる、と心の中で返して立ち上がり
いつまでも引きずっていた気持ちを、海に捨てた。
END