不可解な恋愛 【完】



「今月の13日だから、金」


「ああ、わかった」


「本人逃げちゃってるから。保証人のとこに、とりあえず」


「おー…」


「はい。契約書」


「ああ、」


「とりあえずこの逃げた男のことは、俺が追うよ」


「さんきゅー」






ぺらりと一枚、紙を手渡される。連帯保証人の契約書。

可哀想な奴だ。

連帯保証人にだけはなるな、マグロ船に乗せられるぞ、って親に言われなかったんだろうか。






「え、」






思わず滑り出した言葉に、自分で驚いた。

「金返せなかったらお前山奥の風俗旅館に売られんだぞって脅しでもかけとけばー?」と、愉快に言う同僚の声が、やけに遠くで聞こえる。

連帯保証人は、女だと言っていた彼らの話をぼんやり思い出す。




連帯保証人氏名 白石杏奈。




やっぱりあいつは、どこまでも馬鹿だ。
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