不可解な恋愛 【完】
『神崎さん。私、今日すごーく楽しかった!』
「そう?」
『うん!また来てくれる?』
「機会があったらね」
『待ってますね!』
たいして話してないのに、何が楽しかったんだろ、この女。
客商売も大変だな。俺には社交辞令とかマニュアル通りの接客とか、そういうの無理だから。
尊敬すらする。
上司は美羽とまだ飲んでいるけど、俺は先に店を出た。
午前3時。
奏音がそろそろ仕事を終える時間だからだ。
店の前で、飛鳥が小さく手を振る。
そんな彼女に微笑んで、俺は家路を急いだ。