不可解な恋愛 【完】
杏奈の傍に座り込んで、彼女の体を抱きしめた。
抱き心地の悪い彼女の体が、俺の腕の中にすっぽり収まる。
俺に抱き締められながら、彼女はぶんぶんと首を横に振った。
きっと『謝らないで』とかそんなことを言いたいんだろうと勝手に解釈して、右手で彼女の頭を撫でた。
「でも、どうにかする方法、考えよう」
『…、うん』
「俺は裏切らないよ」
嗚咽を漏らしながら泣きだした杏奈を、もう一度ぎゅっとする。
危ない橋を渡ろうとしていることは、わかっていたけど、どうしても、止まることができなかった。