不可解な恋愛 【完】
Episode 6
「…いたの」
「来ちゃった」
家に帰ると、奏音が居た。
杏奈とはやっぱり真逆だ。
化粧も、どこに行くの?ってぐらいにばっちりで、キラキラ眩しいぐらい。
フリルのついた真っ黒のワンピースに、網タイツなんか履いて。
だからどこ行くんだって。
「その服にエプロン全然似合わねー」
「ドンキホーテで買ったの。キティちゃんかわいいー」
「そんなとこ行くの、お前」
「行くわよ。時代は激安だし」
俺が吹き出すと、彼女は私達の業界にデフレは関係ないしね、と得意げに言った。
大きくキティちゃんがプリントされたエプロンから、ワンピースの裾をひらひらさせて
彼女は手にしているボールの中身をかき混ぜる。