不可解な恋愛 【完】
リビングのソファーに腰掛けて、大きく息をつく。
新しい酸素を吸い込む時に、一緒に込み上げた。大きな罪悪感。
あの後、別に杏奈と何をしたわけでもない。
静かに泣き続ける彼女を、ただ抱き締めて、髪を撫でて、それだけ。
彼女は何も言わずに、俺のシャツをぎゅっと握りしめていた。
「今日はとりあえず遅延損害金の300万、取りに来たんだけど、いらないから」
と、だけ言うと彼女は小さく頷いた。そして『ごめんなさい』と呟いた。
次行くまでに、利子だけでどのくらいの額になるんだろうか。目まいがする。
元金にまで手が回らないだろう、杏奈には一生。