不可解な恋愛 【完】



「りゅうー」


「んー?」


「シャツぐしゃぐしゃ、」


「…あ、」





ソファーに半分寝ころんでいた俺の傍に、奏音がやってきた。

彼女はしゃがんで俺と目線を合わせると、俺の首に回そうとした腕を止めて

俺のシャツを掴んで、言った。



不自然に、胸のあたりだけ丸くしわになったシャツを見て、奏音が怪訝な顔をする。

俺は、明後日の方向を向いて黙る。






「何かあった?」


「なんもないよ」


「誰にこんなことされたの?」


「こんなこと?」


「胸倉つかまれたんでしょ?痛い目見せてあげた?」


「…ああ、うん。もちろん」


「さすがー」






にっこり微笑む奏音に、やっぱり罪悪感。

お前組のトップのくせに、あんま簡単に人を信用すんなよ、と言ってやりたいが、黙る。
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